(いつのまに)聴聞代理権2
前回の続きです。正式に成立していないため、あくまで草案を見ての感想ですが、行政書士の業務範囲内の書類に関わる不利益処分の聴聞・弁明の手続代理であってもその事案が弁護士法72条に該当する、すなわち、法律事件性のあるものと判断される場合は、弁護士法違反となり当該事案を取扱った行政書士は刑事罰並びに懲戒処分の対象となります。一般的に法律事件性とは紛争の蓋然性がある(互いの言い分が対立し解決の見込みが無い)ことが必要とされていますが、その解釈をめぐる学説自体対立してその定義が明確には確立されておらず、何をもって法律事件に該当するかは極めて不明瞭で実務現場でその判断をしても見解が分かれることは想像に難くありません。その定義を明確にしないまま本条項を成立させてもいつ告発されるかも解らないというリスクを抱えて聴聞・弁明の手続きを業務として行なう行政書士はそういないでしょう。
そもそも、聴聞の開催や弁明の機会が与えられるということは許認可の取消や業務停止命令などの不利益処分が決定される可能性が高く、その不利益処分を下す根拠を示して官公署が主催するものです。処分を受ける可能性のある該当者が全面的に官公署の主張を承服する場合を除いては何らかの反論が必要となります。その反論をもって紛争性が生じているとし全て弁護士法72条にいう法律事件性に該当し代理手続きすることができないということであれば実務上運用することは極めて困難なものとなります。このような不安定な状態のまま本条項を成立させても条項自体が死文化する恐れがありますし、全面承服の場合のみ行政書士に代理を認める(仮に非独占業務)ということであればわざわざ行政書士法に明記しなくても、現行の行政手続法でその代理人には要件制限がないのですから弁護士法に触れない範囲で現行法で充分ということになります。
本条項を追加するということであれば、法律事件性の定義が不明瞭である以上弁護士法の適用は除外するべきであり、そうでなければ、認定制度を導入し認定された行政書士に聴聞・弁明の手続代理権を付与するべきでしょう。
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