入管事件

「不法入国の中国人一家、長男の在留認める逆転判決」

http://www.asahi.com/national/update/0528/OSK200805280047.html

中国残留婦人の親族を装って不法入国し、強制退去を命じられた中国人夫婦と長男(19)が処分取り消しを国に求めた行政訴訟の控訴審で、大阪高裁は28日、請求を棄却した昨年11月の一審・大阪地裁判決を変更し、長男について在留資格を認める逆転判決を言い渡した。夫婦については一審と同じく訴えを退けた。

 本件の詳細は、判決を見ていないので不明ですが、一昔前であれば、全員が退去強制になっていてもおかしくはない事案のようです。しかし、最近は家族であっても個別に事情を考慮して判断するケースが出てきています。

 比較的類似していると思われる事案では、東京地裁平成16年11月5日判決(平成15年行ウ340号事件)があります。事実の概要は、「父親は、旧入管法による短期滞在による入国後更新等の手続きなくオーバーステイの状態。母親は他人名義の旅券偽造による日本入国。結婚は母国であるフィリピン滞在時。そして、入国後、日本での生活の中で子供4人が出生。その後、摘発され退去強制処分を受け処分取消のための提訴。」という状況です。

 この判決の内容をまとめてみると、「長女は、約15年間日本で日本人の子供と全く変わりのない生活を継続しており、その生活状況や学習状況に照らすと、今後とも学習を継続し、日本社会に溶け込んで、日本社会に貢献することも十分に考えられ、中学校高学年程度の児童や高校生が親元を離れて暮らすことは、日本人であっても必ずしも珍しいことではなく、当該者一人のみに在留特別許可を付与するという判断は、不自然なものではなく、十分合理性を有するもの。」として長女1人に退去強制を取り消したものです。

 340号事件においては、家族世帯であっても一律に在留特別許可の判断するのではなく、それぞれ個別に事情を照らしながら判断しており、タイトルの事案もおそらくこのように判断したのではないかと推測しています。個人的には、柔軟に判断できるためこの手法はよいと思いますし、今後は司法の場だけではなく入国管理局の段階で申請者に即した弾力的かつ積極的な判断に期待しています。

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起業活動を予定する留学生の卒業後の在留継続可能。

http://www.immi-moj.go.jp/keiziban/happyou/071031_kigyoukatudou.html

今までも留学生は、卒業後就職活動を行なうために最長180日まで短期滞在の資格で在留することが認められていましたから、就職予定者のみならず自営経営を志す人にも門戸が拡大されたものと言えます。しかし、要件には大学の支援が含まれていますので留学中に日本文化の薫陶を受けるなど事情の変更により日本国内での経営を目指すことになった場合、在籍する学校が支援体制を確立していなければ要件を見る限りこの制度は利用できない可能性が高いです。この点はどのように実務運用していくんでしょうかね。。留学後の事情変更に備えて留学する際は起業支援措置の有る大学を選びなさいということなんでしょうかね。。。導入されたばかりでなんとも言えず、また不明な点もあるものの、様々な要件のもとに留学生が卒業後日本国内で起業を予定する場合でも滞在がとりあえず可能になった事は確かです。因みに在留資格は次のように手続き変更します。在校時は留学生→卒業後、最長180日は短期滞在→その180日以内に起業し経営・投資の在留資格へ変更。

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難民不認定処分取消

http://www.asahi.com/national/update/1031/TKY200710310326.html

引用

男性を難民と認めなかった国の処分を取り消す判決を言い渡した。「反政府組織の日本支部のナンバー2としてインターネット上で名前が公表されており、帰国すれば迫害の対象となる可能性が高い」と判断した。

上記の判決文をまだ入手していないので本件の難民認定にいたる経緯は判りませんが、一般的に法律上難民と認定されるには、

  • 人種
  • 宗教
  • 国籍
  • 特定の社会的集団の構成員
  • 政治的意見

上記のいずれかを理由に「迫害を受けたこと(迫害の恐れがあること)による恐怖」があることを示す必要があります。問題は、いかにその『迫害による恐怖』を立証していくかということです。直接迫害を受けたことがある場合はそれを示していくことはもちろんのこと、判例などで見受けられる立証構成は、まず第1に、その難民申請者の国籍国の政治的背景や人権政策を述べていきます。第2に、申請者の親族や申請者と同様類似の境遇にいる人々に対する政府の対応を示します。第3に、前述第1と第2の理由により国籍国に帰国した場合迫害を受ける可能性が高いということを示していく方法です。いわゆる3段論法ですね。例えば、第1段階で独裁政治であり人権が保障されていない現状を示し、第2段階で国籍国国内にいる類似の環境下にいる人々が弾圧や迫害されている事実を提示し、第3で、だから申請者自身もまた迫害を受ける。という具合です。難民申請認定は、平成18年で認定率約8%と非常に厳しい審査(問題点も指摘されていますがそれはまた別の機会)の実情がありますが、ここ数年で上記のような難民不認定を取り消す判決が多く見受けられる様になり、解り易いこの論法を用いて申請の段階において入国管理局を説得するのも一つの方法かと思います。

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留学生の資格外活動

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070918181644.pdf

に判決文の全文がありますが、事実の大まかな概要は、とある留学生が留学の在留資格を得て勉強のため通学していましたが、止むを得ない事情により資格外活動許可を得てバイトで生活費を得ていました。しかし、それだけでは足りなくなり入管法で定められた時間を超えてバイトしていた結果、摘発され退去強制(本国への強制送還)処分を受けたためにその取消処分を求めた訴訟事件です。

この判例では、退去強制に該当する要件(24条4号イ)を改めて具体的に明示しており今後の実務処理を行ううえでかなり参考になります。特に同条同号規定の「専ら行っている」の要件についても踏み込んでおり、それによると、報酬活動等を行っている時間,その継続性,収入又は報酬の額,本来の在留資格に基づく活動をどの程度行っているか等を総合的に判断して,当該外国人の在留資格に係る在留目的及びこれによる活動が,全体として見て,収入又は報酬を得る目的で本邦に在留し,そのための就労をするものに,既に変更されてしまっていると認められる程度に,報酬活動等を行っていることをいう (以下省略)』としており、一律即座に本条を適用することなくその適用に当たっては該当者の様々な事情や環境を考慮した上での慎重な判断を要求していることが判ります。退去強制は行政処分であり、いわゆる刑事罰ではありませんが、その運用にあたり基準を明確にして不明瞭な行政の判断による処分に制限をかける妥当な判断といえましょう。

 結論としては、一概に無許可で資格外活動(あるいは認められた範囲を超えての活動)を行ったとしても退去強制に該当しない(引き続き在留を希望する場合は在留資格の更新が認められる)場合があるということです。

 しかし、一見類似した案件であっても個々の事情は微妙に異なるため詳細な検討が絶対必要であり一般の人がこれを安易に判断することは難しいでしょう。よって、このようなケースに心当たりがある方は、在留資格や入管業務を取扱う最寄の行政書士や弁護士等の専門家に相談されたほうが良いと言えます。

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